千葉県高等学校教育研究会数学部会
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ご挨拶

千葉県高等学校教育研究会数学部会会長

相浦 敦(あいうら あつし)

 

 令和6年度の田口部会長より引き継ぎ、今年度部会長を務めます相浦と申します。

 本部会は、昭和25年(1950年)に、会員の資質向上と親睦を図り、高等学校数学教育の振興を目的として、県内高等学校数学教育担当職員で組織されました。現在、県内180校の公立及び私立高等学校が加盟しています。

 学習指導要領が改訂されて4年目を迎え、定時制においても全学年同じ学習指導要領による教育活動が展開されています。また、令和7年度大学入学共通テストから、科目「数学II、数学B」が「数学II、数学B、数学C」となり、後者においては、数学B2項目、数学C2項目のうちから3項目選択回答することとなっています。これにより、各校授業で扱う内容も工夫されてきております。そして、より思考力が問われるものともなってきています。解き方を教えたり、習熟させたりするだけでなく、考え方を身に付けさせていくことが求められているところでもあります。次期学習指導要領の動向もみながら、千葉県の高校数学教育がますます発展していくための一助となる活動を引き続き行っていきます。


 

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2012/06/29

平成24年度総会・春季研究大会

Tweet ThisSend to Facebook | by:宮部智哉

平成24年度千葉県高等学校教育研究会数学部会総会・春季研究大会が,以下の開催要項にしたがって,実施されました。

参加人数: 92 名

1 主 催 千葉県高等学校教育研究会数学部会

2 後 援 千葉県教育委員会

3 期 日 平成24年6月6日(水)

4 会 場 千葉県立船橋啓明高等学校

5 日程受付(弁当注文) 9:00~ 9:40

 公開授業(2限)     9:45~10:35

 総     会       10:45~11:40

 連 絡 事 項     11:40~11:50

 昼 食・休 憩      11:50~12:50

 研 究 発 表     12:50~13:50

 講     演       14:00~15:30

 研 究 協 議     15:30~16:00

 閉     会       16:00

6 内 容

(1)総会

①挨拶(部会長,教育委員会,会場校校長,会場校数学科主任)

②議長選出

③議事

ア 平成23年度事業報告

イ 平成23年度収支決算報告,監査報告

ウ 平成24年度事業計画案審議

エ 平成24年度予算案審議

オ 平成24年度地区委員選出及び部会長,会計監査の推薦・承認

カ その他の役員委嘱

キ その他
総会

(2)研究発表

①「平成23年度大学入試センター試験(数学)のアンケート調査結果について」

千葉県立成東高等学校  大木 喜信 先生

発表内容
ア アンケート結果(受験生)

・数学の受験型

・得点分布

・志望学部

・得意とする項目,苦手とする項目

・問題ごとの難易度,正答率

・全体を通して問題の程度,解答時間

・受験勉強の開始時期

イ アンケート結果(数学科主任)

・各問題の難易度,計算量

・各問題について,思考力を必要とするか?

・各問題について,学校の授業(補習を含む)だけで十分だと思うか?

・問題の量は?

・数学全領域のバランスは?
大木先生

②「数学的活動を重視した教材の研究 -特に,『予測・表現・検証』を中心に-」

千葉県立佐原高等学校  宮部 智哉 先生

発表内容

 日頃の授業の中で問題解決を行う際に,「①解を予測する。②解のイメージを図等で表現する。③求めた解を検証する。」という一連の過程に数学的活動が生まれると考える。「学習指導要領における改善の基本方針」を踏まえて,数学的活動を喚起させるための教材とは何か,また,「課題学習」として利用できそうな教材とは何かについて研究し,授業実践を行った。
ア 教科書の教材の研究

・実践①「2次関数と方程式・不等式」

・実践②「集合と論理」
イ 「課題学習」に対応した教材の研究

・実践①「黄金長方形を作ってみよう」

授業展開の概要,生徒の活動(定規とコンパスを用いた作図)と考察

生徒の活動Ⅱ(折り紙を折る)と考察,アンケート結果と感想

生徒の肯定的な感想,授業者の感想,評価規準
・実践②「パスカルの三角形を」,

授業展開の概要,生徒の活動(折り紙を折る)と考察,アンケート結果と感想

生徒の肯定的な感想,授業者の感想

宮部先生

(3)講演

「大学生数学基本調査から見えてきたもの」

国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授 新井 紀子 先生
新井紀子先生

講演の概要

日本数学会では,大学生の数学的素養と論理力の実態を把握するために全国48大学約6千人の大学生を対象に「大学生数学基本調査」を実施しました。その結果と今後の高校における数学教育について,お話していただきました。

基本調査に至る経緯

1990年代から大学生の数学力が低下しているとの指摘が繰り返しなされてきましたが,2000年代に入ると,多くの大学では,大学本来の数学教育を始めるための前提条件として,高校数学の補習授業を行うことが必要となりました。ここ数年に至っては「入学試験や1年生の期末試験における数学の答案にまったく意味の通じないものが増え,どう対処したらよいか当惑している。」という声が寄せられています。さまざまな大学の教員から意見を集めたところ,倫理的文章を理解する力,論理を組み立て表現する力が学生から失われつつあるのではないか,との危惧が教育現場に広がっていることがわかり,今回「大学生数学基本調査」を実施することとなりました。

基本調査の内容・結果とその分析

問題は,3問からなり,出題範囲は小中学校および数学Ⅰのごく基礎的な範囲に留めています。基本的に問1は文章に含まれる論理を的確に読み取れるか,問2は論理的に正しい記述ができるか,問3は数学の基本である比例と作図を理解しているかをテストしています。

・問1-1 平均の定義とそれに関する初歩的な推論(選択式)

問1-2 命題と条件の論理的な読み取り(選択式)

どちらも誤答率が高く,論理を正確に解釈する能力に問題があることを示しています。

・問2-1 整数の性質に関する初歩的な論証(記述式)

問2-2 2次関数の性質の列挙(記述式)

記述式入学試験を課している難関国立大学の合格者を除くと「偶数と奇数の和が奇数になる」証明を明快に記述できる学生は稀,という結果になりました。2次関数の性質を列挙する問題では,意味不明の解答が多く,準正答のなかにも,すでに挙げた性質と重複する性質を再度挙げる解答が目立ちます。論理を整理された形で記述する力が不足しています。

・問3 平面図形と作図アルゴリズムの表現

平面図形を定規とコンパスで作図するということが何を意味するのか理解していない解答が多くみられました。高校までの教育で,こうしたことがきちんと教えられていない可能性もあります。

基本調査で明らかになった問題点を踏まえ,日本数学協会から以下の提言がされました。

・中等教育機関では,充実した数学教育を通じ論理性をはぐくむ。証明問題を解かせる等の方法により,論理の通った文章を書く訓練を行う。

・大学では数学の入試問題はできるだけ記述式にする。1年次2年次の数学教育において,思考整理と論理的記述を学生に体得させる。

新井紀子先生
新井 紀子 先生のプロフィール
1962年,東京生まれ。一橋大学法学部およびイリノイ大学卒業,イリノイ大学大学院数学科修了。理学博士。専門は数理論理学(証明論)・知識共有・協調学習・数学教育。2001年より,教育機関・公共機関向けの情報共有基盤システムNetCommonsを開発。現在,3000を超える機関でポータルサイトやグループウェアとして活用されている。2009年より学術研究情報の循環型情報活用基盤システムesearchmapを開発,2011年にResearchmapJSTが提供するReaDを統合,ReaD&Researchmapとして提供している。2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトリーダーを務める。
主著に「ハッピーになれる算数」「生き抜くための数学入門」(イーストプレス),「数学は言葉」(東京図書),「ロボットが仕事を奪う」(日本経済新聞出版社)など。


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