平成22年度千葉県高等学校教育研究会数学部会秋季研究大会が,以下の開催要項にしたがって,実施されました。
参加人数: 95 名
1 主 催 千葉県高等学校教育研究会数学部会
2 後 援 千葉県教育委員会
3 期 日 平成22年10月26日(火)
4 会 場 千葉県立千城台高等学校
5 日 程 受 付(弁当注文) 9:00~ 9:40
公開授業(2時間目) 9:45~10:35
開会・挨拶・諸連絡 10:40~11:00
研 究 発 表 ① 11:00~11:30
研 究 発 表 ② 11:30~12:00
昼 食 ・ 休 憩 12:00~13:00
研 究 発 表 ③ 13:00~13:30
研 究 発 表 ④ 13:30~14:00
講 演 14:10~15:40
研 究 協 議 15:40~16:00
閉 会 16:00
6 内 容
(1)研究発表
①「平成22年度計算力テスト実施結果について」
千葉県立千葉高等学校 荒武 亜美 先生
②「平成22年度千葉工業大学の入試問題に関する研究」
千葉県立小金高等学校 坂本 大輔 先生
③「生徒の数学的活動を重視するための方策-数学のよさを認識できる授業を目指して-」
銚子市立銚子高等学校 向後 隆夫 先生
④「中学校での指導を高校での指導にどう活かすか」
千葉県立一宮商業高等学校 岩土 賢祐 先生
(2)講演
「企業における統計的問題解決の仕組みと実際」
日野自動車株式会社 TQM推進室 主管 瀧沢 幸男 先生
講演の概要
戦後,日本の企業の多くが品質管理に力を入れた結果,日本の製品は品質が良いという評価を得た。また,インフラ・サービスの質の面などでも良い評価を得た。そこでは,TQM(総合的品質管理活動 Total Quality Management)の思想と実践に基づき,統計的問題解決が職場の第一線まで展開されている。その実際について,お話しいただきました。以下が,お話の概略です。
1 自己紹介
2 自動車産業の現状と日野自動車の紹介
・トラックは約2万点の部品で出来ているが,
部品が1つでも故障すると車の機能に悪影響 ⇒ 一つ一つの品質管理が必要
部品一つ一つの原価の積み重ねが車の原価 ⇒ 一つ一つの原価管理が必要
・今後克服しなければならない課題は,
新興国に負けない技術の先行,新興国に負けない満足度の獲得
3 我が国発展の経緯とそれを支えたTQMについて
・TQMの3つのコンセプトは,
お客様第一,全員参加,絶え間無い改善
・車づくりの根幹は“人(者)”づくり
「物(車)づくり」「者(人)づくり」は,どちらも人間が主役
4 車づくりの現場第一線での統計的問題解決の仕組みと実際
・現場には品質だけでなく様々な任務(使命)があり,問題解決に必要な能力とは,
問題発見能力,問題解決能力
・問題解決の手順は,
テーマの選定→活動計画→現状の把握と目標設定→要因の解析→対策の実施→
効果の確認→標準化と管理の定着→反省と今後の計画→まとめ・報告・発表
・QCサークル活動でよく使われるQC手法
数値データ…パレート図,チェックシート,ヒストグラム,散布図,グラフ,管理図,マトリックス・データ解析法
言語データ…特性要因図,連関図法,系統図法,マトリックス図法,親和図法,アローダイヤグラム法,PDPC法
・社内研修の中で,家でQC手法を活用することを推奨しており,その具体例は,
パレート図→家計簿の整理→一番の出費把握,チェックシート→戸締りチェック→外出時の点検,グラフ→光熱費,通信費などの管理→使い方に変な癖が無いか,など
最後に,「グローバル競争はこれからが本番で,日本はどうやってこの時代を乗り越えていくのか?先生方には,次代を担う青年たちに,多くの先輩の知恵と裏にある努力を引き継ぐように導いていただきたいと願います。」と私たちへ問題提起と理数系復権への励ましをいただきました。企業の第一線に携わる方からの貴重な興味深いお話で,あっという間の90分間でした。
瀧沢 幸男 先生のプロフィール
現職,日野自動車株式会社 TQM推進室 主管。TQMとは,「Total Quality Management,総合的品質管理活動」のことです。
1951年に東京でお生まれになり,1975年大学卒業とともに当時の日野自動車工業株式会社に入社されました。製造部,生産技術部,TQM推進室,経営企画部を経て現職として,社内で品質管理を基軸とした「もの(物=車)づくりともの(者=人)づくり」の両面から,強い現場力の構築のために日々改善活動に取り組まれております。また,日本機械学会,自動車技術会,日本品質管理学会,QCサークル本部幹事など,社外の活動にも参画されております。QCとは,「Quality Control,品質管理」のことです。