令和6年度 千葉県高等学校教育研究会数学部会見学研修会が開催されました。
今年度の見学研修会は、8月21日(水)に千葉大学・医学部
(亥鼻キャンパス)にて実施されました。(参加者47名)
その内容の概略を報告します。


(研修会場の医学部本館・医学系総合研究棟です。)
・会 場 千葉大学医学部 亥鼻キャンパス
(〒260-8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1)
・主 催 千葉県高等学校教育研究会数学部会
・後 援 千葉県教育委員会
・内 容
9:00~ 9:20 受付・案内
9:20~ 9:30 開会式
9:30~10:00 医学部説明
10:00~11:00 講義「AI/人工知能医学」
11:05~11:40 大学説明
11:40~ 閉会式・アンケート記入
キャンパスガイド(希望者)

1 開会式
・部会長挨拶
県立船橋法典高校 田口 英彦 校長
・会場大学より
医学部副学部長 伊藤 彰一 教授
2 大学・薬学部・学科説明
医学部副学部長 伊藤 彰一 教授

医学部は、1874年に地域に設立された病院が、やがて千葉医科大学になり、1949年に千葉大学となりました。このように、病院と共に医学の教育機関が先につくられて、研究実績を積み重ねる中で総合大学になった国立大学は「旧六」と呼ばれ(千葉、金沢、新潟、岡山、長崎、熊本)、長い歴史を有し、優れた医療人を排出してきました。
亥鼻キャンパスには、附属病院と医学部、薬学部、看護学部があり、亥鼻IPE(Interprofessional Education・専門職連携教育)では、3つの学部と工学部の医療系機器の製作に関わるコースが一緒に「チーム医療」を学ぶそうです。
3 講義 「AI/人工知能医学」
医学部 川上 英良 教授
川上先生は、千葉大学において人工知能(AI)医学という教室を運営し、AI数理科学の医学への応用に取り組んでおられ、理化学研究所情報統合本部先端データサイエンスプロジェクト医療データ数理推論チームのチームリーダーも兼任されています。
AIは医療において、診断や予防、病気の発症・重症化の予測、治療における手術のサポート、麻酔管理など、様々な場面で使われているそうです。
4 大学説明
国際未来教育基幹 大窪 晋 特任教授

大窪先生は学生生活の目的として、在学中に将来にわたり協力し合うことができる「大きなネットワークをつくる」ことが大切なことを強調されました。
千葉大は、全国そして海外からも学生が集まり、その上、総合大学なので、様々な研究をしている学生とつながることができる最適な環境であることを教えてくださいました。
また、千葉大は学生全員が海外留学をする(「ENGINE」プラン)ことになったそうです。海外の238大学と協定を結んでおり、留学のためのハードルを低くするために、語学や勉強のアドバイスや心配事に対する相談などを行い、学生が安心して留学できるようにバックアップをしているそうです。
5 閉会式
・会場大学より
国際未来教育基幹 大窪 晋 特任教授
・副部会長挨拶
県立船橋高等学校 風戸 正 校長

6 キャンパスガイド
医学部学務係 石本 俊洋 係長
「医学部~病院前~薬学部~図書館~看護学部~学生食堂」
グループ学習室このグループ学習室や、今回説明と講義の会場となった講義室は、アクティブラーニングができるように、全て動かせる机にしているそうです。
第2実習室
多目的IT室
アクティブラーニングスペース「智慧と歴史」
学生のみなさんが、静かに読書や瞑想をするなど、思索を深めるための場所であるそうです。また、グループで話し合うためのスペース「未来と創造」も設けられています。
「医学の祖」ヒポクラテスの胸像(本館の玄関正面)
ОBである嶋田宗之先生(昭和9年卒業)から寄贈された貴重な像で、医学生に「ヒポクラテスを鑑とし《医の倫理》を学んで欲しい」という願いが込められているそうです。

附属病院

医薬系総合研究棟Ⅰこちらは薬学部の研究棟です。

ゐのはな地区サークル会館亥鼻キャンパスにおいても、学生のみなさんは運動系、文化系ともにとても熱心にサークル活動に取り組んでいるそうです。
緑が鮮やかな美しい景色のキャンパスです。
ゐのはな同窓会館(写真の右端は図書館亥鼻分館)

旧医学部本館長い歴史を有する建物ですが、東日本大震災を機に建て替えが決まり、現在本館は新しくできた医学系総合研究棟に移転しています。


旧薬学部の屋根飾り「千葉大学薬学部猪之鼻学舎屋根飾」現在の薬学部の前身である千葉医学専門学校薬学科の学舎の上に設置されていた屋根飾りです。当時の校舎は1982年に解体されましたが、屋根飾りは歴史ある学舎のシンボルとして展示されているそうです。

医学部創立85周年記念像(長尾精一先生、荻生録造先生像)1960年に建てられた像で、千葉大学医学部の前身である医学校を発展させ続けた、お二人の先生の像のレリーフがはめ込まれています。

辛亥革命赤十字隊記念碑辛亥革命の際、当時の千葉医学専門学校には、40名を超える中国からの留学生がいました。彼らが、祖国の難を憂え、救国の志に燃え、「赤十字隊を結成し、敵味方ない人道的救援に赴きたい」と訴えたのを受け、教職員や学生が医薬品購入のため義援金を拠出し、さらに教員たちは緊急医療技術を伝授するなど、全学を挙げて彼らを支援しました。
檄文に名を連ね、直接革命に身を挺した学生は37名、その中の少なくとも6名の方は革命成就の前に帰国して活動されたそうです。また1911年4月の黄花崗起義では2名の学生が亡くなったそうです。
中華民国樹立後、復学した留学生たちが、支援に感謝するためにこの記念碑を建立しました。

亥鼻地区厚生施設(手前)と看護・医薬系総合教育研究棟(奥)看護学部のエリアに、学生相談室や購買、学生食堂等があります。
学生食堂前で解散しました。
この研修会を通して、千葉大学医学部の歴史と理念、学生のみなさんの様子、最先端の診療の技術と、そこに数学やコンピュータが活用されている様子を詳しく知ることができました。
これからの私たちの進路指導や教科指導の大きな力になると思いました。
千葉大学のみなさまに心から感謝いたします。