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ご挨拶

千葉県高等学校教育研究会数学部会会長

相浦 敦(あいうら あつし)

 

 令和6年度の田口部会長より引き継ぎ、今年度部会長を務めます相浦と申します。

 本部会は、昭和25年(1950年)に、会員の資質向上と親睦を図り、高等学校数学教育の振興を目的として、県内高等学校数学教育担当職員で組織されました。現在、県内180校の公立及び私立高等学校が加盟しています。

 学習指導要領が改訂されて4年目を迎え、定時制においても全学年同じ学習指導要領による教育活動が展開されています。また、令和7年度大学入学共通テストから、科目「数学II、数学B」が「数学II、数学B、数学C」となり、後者においては、数学B2項目、数学C2項目のうちから3項目選択回答することとなっています。これにより、各校授業で扱う内容も工夫されてきております。そして、より思考力が問われるものともなってきています。解き方を教えたり、習熟させたりするだけでなく、考え方を身に付けさせていくことが求められているところでもあります。次期学習指導要領の動向もみながら、千葉県の高校数学教育がますます発展していくための一助となる活動を引き続き行っていきます。


 

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2023/11/24

令和5年度 見学研修会 開催

Tweet ThisSend to Facebook | by:三浦徳幸
令和5年度 見学研修会報告

 今年度の見学研修会は、8月24日(火)に東京理科大学・薬学部(野田キャンパス)にて実施されました。(参加者40名)
 その内容の概略を報告します。



(研修会場の16号館です。)

・会 場  東京理科大学 野田キャンパス
      (〒278-8510 千葉県野田市山崎 2641)
・主 催  千葉県高等学校教育研究会数学部会
・後 援  千葉県教育委員会
      東京理科大学
・内 容  
       9:00~ 9:25 受付・案内
       9:25~ 9:35 開会式
       9:35~10:35 大学説明、薬学部・学科説明
       10:45~11:45 模擬講義
        「医薬品の有効性・安全性の評価手法と統計学の役割」
       11:55~12:45 薬学系施設見学
       12:45~13:00 閉会式・アンケート記入


1 開会式
 ・部会長挨拶
   千葉県立成田北高等学校長 藤﨑 俊浩 先生

 ・会場大学より
   薬学部長 薬学科 教授 宮崎 智 先生

 薬学部は、東京物理学校の開学から142 年の歴史の中で、理学部の次に創設され、今年で62 年目を迎えています。
 2025年4月に薬学部(薬学科及び生命創薬科学科)および大学院薬学研究科は、野田キャンパスから葛飾キャンパスに移転することになっています。

2 大学・薬学部・学科説明
   薬学部長 薬学科 教授 宮崎 智 先生


 薬学部は「国民の健康を守る」という使命を担っており、「自分がつくった化合物を口にできるか」ということが常に学びの根底にあるそうです。
 薬学科(6年制)は「(薬を使い)目の前の患者様一人ひとりを救う」、生命創薬科学科(4年制)は「(薬を創り)一つの薬で世界中の人を救う」という大志を抱かせる教育を目指しているとのことです。


 薬学科については、薬剤師になるにあたっての全国共通の基礎学力試験と実技・態度などの試験に合格することが必須であること、5年次に長期の実務実習に行くこと、6年次の卒研や薬剤師国家試験に向けての総復習など、様々なお話を伺うことができました。
 生命創薬科学科は、抗体医薬品や核酸医薬品、最近ではコンピューターのアプリが薬になるなど、様々なタイプの創薬に関わるために、3年次以降は選択科目が多くなるとのことでした。また、多くの学生さんが大学院に進み、研究を継続するそうです。

3 模擬講義
 「医薬品の有効性・安全性の評価手法と統計学の役割」
   薬学部 薬学科 准教授 佐藤 嗣道 先生

 佐藤先生は医薬品情報学がご専門で、実際の医療で使う統計の科目を担当されています。


 「医薬品」とは「化学物質に情報が加わったもの」であり、その効果や副作用についての情報が豊富であることが、その価値を高めることになるそうです。この講義では、新薬の開発における臨床試験で、その効果と安全性を評価する方法を教えてくださいました。
 医薬品の有効性の評価においては、背景となる事柄が平均的に等しい2群の集団を設定して比較をすること、新薬(試験薬)の比較対象としては、「プラセボ(偽薬)」を使うことがあり、その際には、真の薬の効果を見いだすために、試験薬とプラセボを無作為に処方する(ランダム割り付け)、心理的な要因により患者さんの症状が改善したり、医師の評価に悪影響を与えたりすることを防ぐために、誰にどちらを割り付けたかを双方に知らせない(二重盲検法)などのことを行うそうです。効果を評価する指標としては、2つの群での症状の「改善の割合」、「改善の割合の差」、疾患の「発生割合」、「発生割合の差(絶対リスク減少)」とその逆数の「治療必要数」を目安の一つとするそうです。
 医薬品の安全性の評価については、観察による手法が用いられることを、サリドマイドによる薬害を突き止めた「レンツ博士の症例対照研究」の事例で詳しく教えてくださいました。また「コホート研究」の手法や、最近は「診療報酬を請求するための明細書(レセプト)のデータ」と「病院のデータ」などのオンラインで蓄積された大規模なデータベースを研究に活用していることなどを教えてくださいました。
 また、統計的な手法が使われる授業の例として、タミフルの臨床試験のデータ(タミフル群とプラセボ群)をもとにした、母比率の差の検定について、表計算ソフトウェアを用いた演習の様子を紹介してくださいました。



4 施設見学
   薬学部 薬学科 講師 河野 洋平 先生

(内服薬の調剤を行う実習室)

 河野先生は、薬学科の学生のみなさんが病院で行う実習に対応するための施設について、詳しく説明しながら案内してくださいました。薬学科では、5年次に薬局実習と病院実習(各々11週間、計22週間)に行くにあたり、4年次の段階でそのための訓練をここで行うそうです。
 私たちは、はじめに内服薬の調剤施設を見学し、次に注射薬の調剤施設において「クリーンベンチ」と「安全キャビネット(抗がん剤の調整に用いる)」について詳しいお話を伺いました。これらの施設では、実際と同様の調剤業務の実習が一度に50名できるそうです。
 抗がん剤は、人のDNAにダメージを与えるものが多いため、従事者を守るためにも、知識のある薬剤師がこうした設備で調整をする必要があるそうです。

(注射薬の調剤を行う実習室
写真右:クリーンベンチ/左:安全キャビネット)

(写真手前は安全キャビネット)

 次に、薬の説明や服薬指導などの対人業務に関するトレーニングをするための設備(病棟実習室)や、保険薬局を模した施設(医療薬学資料室)を見学させていただきました。こちらで実際の医療現場と同様の環境での実習を行うそうです。

(患者さんへの薬の説明の実習などを行う病棟実習室)

(保険薬局を模した医療薬学資料室)

 最後にプレナリーセッション室を案内してくださいました。
ここは、中央に大きな1つの部屋があり、その周囲に小さな部屋がたくさんある教室で、症例を検討する実習で使用するそうです。
 学生のみなさんは、いろいろな症例を中央の大きな部屋で提示され、その後周囲の小さな部屋で8人から10人くらいで一つのグループをつくって分かれます。そこで提示された症例について、患者さんに薬を投与するとき「どれくらいの量を、どのような方法で、何回投与するのか」を考えるという講義を行うとのことです。
また、薬学科の学生と筑波大の医学部の学生、看護学部の学生、検査部の学部の学生さんたちとでグループをつくって、症例を検討する実習も行うそうです。

(プレナリーセッション室:全体で行うための部屋です。)

(プレナリーセッション室:奥がグループごとの実習を行う部屋です。)


5 閉会式
 ・会場大学より
   薬学部長 薬学科 教授 宮崎 智 先生

 ・副部会長挨拶
   千葉県立船橋法典高等学校長  田口 英彦 先生



6 付記
 野田統括課の方々が学生食堂を案内してくださいました。





 食事のメニューが充実していて、とてもおいしくいただきました。
 私たちが拝見したことは、薬学部のほんの一部なのでしょうが、これほどまでに充実した薬学の教育機関を見学することができて、とても勉強になりました。
 2025年4月から千葉県外に移転してしまうことは、私たち千葉県高等学校教育研究会数学部会にとっては残念ですが、東京理科大学薬学部のこれからのますますの発展を心から期待しております。
 この度は本当にありがとうございました。

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