平成２４年度千葉県高等学校教育研究会数学部会秋季研究大会が，以下の開催要項にしたがって，実施されました。

参加人数：　９０　名

１　主催　千葉県高等学校教育研究会数学部会

２　後援　千葉県教育委員会

３　期日　平成２４年１１月２日（金）

４　会場　千葉県立磯辺高等学校

５　日程　受付（弁当注文）　　　９：００～　９：４０

　　　　　 公開授業（２時間目）　　　９：４５～１０：３５

　　　　　開会・挨拶・諸連絡　　１０：４０～１１：００

　　　　　研究発表①　　１１：００～１１：３０

　　　　　研究発表②　　１１：３０～１２：００

　　　　　昼食

　　　　　研究発表③　　１３：００～１３：３０

　　　　　研究発表④　　１３：３０～１４：００

　　　　　講演　　１４：１０～１５：４０

　　　　　研究協議　 １５：４０～１６：００

　　　　　閉会　　１６：００

６　内　容

（１）研究発表

①「平成２４年度計算力テスト実施結果について」

　　　　　　千葉県立木更津東高等学校　　三浦　和雅　先生

発表内容
　　ア　研究の目的
　　イ　計算力テストの出題方針

　　　　・出題内容の決定について

　　　　・今年度の変更点
　　ウ　実施状況
　　　　・参加校の増減について

　　　　・参加校の状況について

　　　　・実施時間について
　　エ　グループ別の得点
　　オ　分野別正答率の比較

　　　　・実施１０年間の分野別正答率の比較について

　　　　・グループ別，分野別正答率の比較について
　　カ　個別の得点によるグループ分けでの比較

　　　　・考察の方法について

　　　　・学校別グループ分けとの関係

　　　　・正答率の比較
　　キ　今年度新たに加えた問題について
　　ク　意見・感想等

　　　　・意見・感想

　　・採点してみて気付いた事
　　ケ　今後について
　　　　・生徒のつまづいている場面を知る

　　・県内の生徒の傾向を知る

　　　　・さらなる実施参加校を求めて　












②「平成２４年度大学の入試問題に関する研究

　－平成２４年度日本大学生産工学部の入試問題を中心として－」

　　　　　 　千葉県立千葉高等学校　　　　荒武　亜美　先生

発表内容
　　ア　はじめに
　　イ　研究の内容

　　　　・研究対象の大学について

　　　　・日本大学の概要

　　　　・平成２４年度の入試方法について

　　　　・問題に関する研究委員会の問題分析方法について

　　　　・大学側との意見交換について
　　ウ　終わりに

③「商業高校における習熟度別授業での学習内容の工夫とその成果

　　　－計算力と簿記検定・情報処理検定－」

　　　　　 　千葉県立千葉商業高等学校　　井原　礼司　先生

発表内容
　　ア　千葉商業高校の概況
　　イ　教育課程（数学科）

ウ　「計算力ＣＨＥＣＫＴＥＳＴ」による生徒の実態調査
　　　　　・年度別計算力テスト得点分布（システム科）

　　　　　・年度別計算力テスト得点分布（商業科）
　　エ　習熟度別少人数クラスについてのアンケート調査
　　　　　・好意的意見，否定的意見

　　　　　・少人数クラスを１２名で編成することについて

　　　　　・少人数クラスの希望制について
　　オ　実践　　

　　　　　・テスト予想問題の作成による理解度の把握と計算力向上

　　　　　・計算力を上げるための検定試験の利用

④「高等学校の学習内容を効率よく学習するために

　　　－義務教育の内容を適切に復習する－」

　　　　　 　千葉県立実籾高等学校　　　　天野　優子　先生

発表内容
　　ア　はじめに
　　イ　本校の概況と教育課程

　　　　　・本校の概況

　　　　　・教育課程

　　　　　・事前アンケートによる実態調査
　　ウ　復習プリントの活用

　　　　　・復習プリントによる実践その１（確率）

　　　　　・復習プリント（確率）実践結果

　　　　　・復習プリントによる実践その２（図形）

　　　　　・復習プリント（図形）実践結果

　　　　　・事後アンケートによる効果の検証
　　エ　指導の仕方による工夫の実践（三角比）

　　　　　・事前指導について

　　　　　・特別な角度（０°，９０°，１８０°）
　　　　　　における指導について

　　　　　・正弦定理，余弦定理の展開順序

　　　　　・正弦定理の指導について

　　　　　・事前指導による効果の検証について
　　オ　おわりに

０（２）講　演

「『数学的活用』のすすめ」

　静岡大学教育学部教授，附属島田中学校長　　熊倉 啓之 先生

＜講演の概要＞

2012年度よりスタートした学習指導要領では，数学的活動が重視されている。しかし，「何をすれば数学的活動と言えるのか」，「そもそも何のために数学的活動を実施しなければならないのか」について，疑問を持たれている方も少なくない。数学的活動が重視される理由，数学的活動の具体を明らかにした上で，数学的活動を重視した指導の具体的な事例を多く紹介していただきました。また，教科書の問題について提示を工夫したり，発展させたり，身近な事象から数学の課題を作成したものについても提示していただきました。
　

＜講演骨子＞（資料より）

１．はじめに

三輪車の問題（熊倉，2000）

２．高等学校における数学教育の課題

(1)学生の反応から

「三角比を学ぶ意義は？」「微分を学ぶ意義は？」「関数を学ぶ意義は？」

(2)大規模調査結果から

①教育課程実施状況調査，②PISA2003調査，③H10理数定点調査

(3)数学へのイメージ

 生徒･･･「数学の学習」，教師･･･「数学の学力の向上」，世間･･･「数学」

(4)新学習指導要領の理念

①数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能の定着

②数学的な思考力・表現力の育成

③算数・数学を学ぶ意欲の向上

２．「数学的活動」の具体

(1)学習指導要領

「数学学習に関わる目的意識を持った主体的な活動」

(2)６つの数学的活動（熊倉，2011）

３．「数学的活動」を重視した実践例

(1)三角比＜余弦定理の導入＞（熊倉，2006）

(2)数と式＜平方根の計算＞（熊倉，2012）

(3)2次関数の応用＜断面積の最大＞（熊倉，2010）

(4)微分の応用＜容積の最大＞（熊倉，2011）

(5)図形と方程式＜中点の軌跡＞（熊倉，2009）

(6)積分の応用＜放物線で囲まれた面積＞（熊倉，2007）

(7)数列の応用＜ドアからの脱出＞（西成，2011参考）

(8)確率の応用＜条件付き確率＞

(9)空間図形の性質＜多面体＞（熊倉，2011）

(10)レポート課題

＜例＞「微分について学んだことを，5枚以内にまとめなさい。」＜振り返り＞

「授業で扱った○○の問題を，いろいろ拡張して，追究してみよう。」＜探究＞

＜熊倉 啓之 先生のプロフィール＞

　先生は，埼玉県のお生まれで，１９８２年早稲田大学理工学部数学科卒業。１９８４年早稲田大学大学院理工研究科修了。筑波大学附属駒場中・高等学校の教諭を経て，２００７年から現職としてご活躍中です。２０００年には，「日本数学教育学会優秀論文賞（高等学校）」を受賞されています。

「平成１７年高等学校教育課程実施状況調査（数学）問題作成・分析委員」，「平成２１年告示高等学校学習指導要領解説数学編作成協力者」などを歴任されました。

研究テーマは，「学ぶ意義を実感させる数学の指導に関する研究」，「中学と高校の接続を重視した数学教育に関する研究」，「フィンランドの数学教育について」，「空間図形の理解に関する研究」と多岐にわたっています。

著書に，「確かな理解をめざした文字式の指導」（明治図書）
「なるほど！いっぱい中学数学　数と式の世界」（日本評論社）など，多数あります。