平成20年度千葉県高等学校教育研究会数学部会総会・春季研究大会が、以下の開催要項にしたがって、実施されました。
参加人数:98名
1 主 催 千葉県高等学校教育研究会数学部会
2 後 援 千葉県教育委員会
3 期 日 平成20年6月13日(金)
4 会 場 千葉県立東金高等学校
5 日 程 受付(弁当注文) 9:00~ 9:40
公開授業(2限) 9:45~10:35
総 会 10:45~11:30
連 絡 事 項 11:30~11:40
昼食・休憩 11:40~12:50
研 究 発 表 12:50~13:50
講 演 14:00~15:30
研 究 協 議 15:30~16:00
閉 会 16:00

6 内 容
(1) 総会
① 挨拶(部会長,教育委員会,会場校校長,会場校数学科主任)
② 議長選出
③ 議事
ア 平成19年度事業報告
イ 平成19年度収支決算報告,監査報告
ウ 平成20年度事業計画案審議
エ 平成20年度予算案審議
オ 平成20年度地区委員選出及び部会長,会計監査の推薦・承認
カ その他の役員委嘱
キ その他
(2) 研究発表
① 「平成20年度大学入試センター試験(数学)のアンケート調査結果について」
千葉県立小金高等学校 坂本 大輔 先生
② 「iPod touch を活用した探索型授業の試み」
千葉県立東葛飾高等学校 大橋 真也 先生
(3) 講演
「人間を支援する実用的なロボットシステムの開発」
東京理科大学工学部第一部 教授 小林 宏 先生
講演の概要
大学の研究室では人間を支援する技術の追求をメインテーマとして,生活支援・社会福祉を目的とした実用的なロボットシステムの開発に取り組んでいる。そして,その開発は民間との共同研究で実用化され,世界的にも高く評価されている。その中から幾つかの具体的な事例について講演をいただいた。まず初めに,人と機械の感性コミュニケーションの実現を目指したロボット受付嬢SAYAが紹介された。SAYAの特徴は豊かな表情が表現できる顔ロボットであることだ。その表情は,驚き・恐怖・嫌悪・怒り・微笑みなどを実にリアルに表現していた。これは,顔の筋肉一つ一つの動きや皮膚の構造など細部にわたる分析と実験の積み重ねから生まれたものであり,その技術力の高さを示すものであった。続いて,介護を必要とする人の自立を目指す開発や研究も紹介された。中でもマッスルスーツやアクティブ歩行器は,介護を必要とする人が自己の能力で自立できるように工夫と配慮がなされていて感心した。機械はあくまでも人間のサポート役であり,介護を必要とする人の持つ能力を補助することで自立を実現する。いわばリハビリも兼ねている。我々がイメージをするロボットは人ができないことをやってくれる便利なものであるが,ここで見たロボットは日常生活に必要な部分を補助することを目的とするシンプルで現実的なものであった。しかもそれが大変難しい技術であることを知らされた。この他に,しごき機能付き搾乳機,嚥下ロボット,多機能筋トレ装置,上肢筋力補助装置などの紹介があり,どれも感嘆するような工夫がなされていた。途中,筋ジストロフィーの子供が実際使用している映像などもあって大変興味深く聞くことができた。「大学でも真に役立つ開発をしたい。」と述べられた小林先生の熱意の伝わる講演であった。

小林 宏 先生のプロフィール
1995年東京理科大学工学研究科機械工学専攻博士課程修了。その後,日本学術振興会海外特別研究員,東京理科大学工学部機械工学科助教授,科学技術振興事業団さきがけ研究21「相互作用と賢さ」領域研究員等を歴任され,2008年東京理科大学工学部機械工学科教授として現在に至る。研究対象分野は,ヒューマン・インタフェース,福祉介護ロボティクス,人工知能,人間型ロボット,医療診断等であり,これまでに産学官連携功労者表彰文部科学大臣賞(2008年)をはじめ,日本機械学会賞(論文),2006年度グッドデザイン賞(マッスルスーツ)など数々の賞を受賞している。主な著書に,『ロボット進化論』(オーム社),『顔という知能-顔ロボットによる「人工感情」の創発』(原文雄 小林宏著,共立出版)等がある。
参考 URL:http://kobalab.com/